私、岩崎 梓の大好きな美しいもの、心ときめく音楽。美味しかったもの。 etc...写真を撮りながら気ままにご紹介。よろしくね。


by 岩崎 梓
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<   2012年 01月 ( 7 )   > この月の画像一覧

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この幻想的な詩はバレエの世界にもインスピレーションを与えた。
ディアギレフ率いる「バレエリュス」の創設の年1911年に
M.フォーキンが振り付けをしている。
音楽はC.ウェーバーの「舞踏への勧誘」(こちらもベルリオーズの編曲による)
この年は、ゴーティエの生誕100年のアニヴァーサリーイヤーだったので、
「薔薇の精」を題材とした新作が作られたのかもしれない。
モンテカルロでの初演のダンサーはもちろんニジンスキー。
この時のニジンスキーのジャンプの驚異的なこと、空中に止まっているようだったことに
観客が熱狂したというのは有名なエピソードだ。

バレエリュスというエキゾティックな新しいカンパニー。半世紀ほど前の幻想的な詩に題材を得てニジンスキーが踊る。
コレオグラフはフォーキン。
その当時に居合わせたらそれはわくわくする体験だと思う。
先日、熊川哲也さんがラジオ番組でこの「舞踏への勧誘」を取り上げ、
「薔薇の精」について語ったコメントがやはりそのようなものだった。
そんなエキサイティングなアートシーンに参加してみたかったと。
そして、
「音楽の命は長い。それに比べてダンサーの命は。。」
とも言っていた。
たしかに作品は後世まで残せるけれど、ライブでダンサーの踊りを体験できる年月の短さ。。

M.ルグリも数年前にエトワールを引退したが、こちらはパリオペラ座時代の「薔薇の精」




明るいウェーバーの音楽と華やかなジャンプ。
歌曲とはまったく違った軽やかな夢の世界が繰り広げられる。
こちらの薔薇の精は「化けて出る」というよりは、
昨夜の楽しいひとときを思いだし、分かち合おうと気楽に少女を訪ねてきて
またひらりと帰ってゆく、といった風情である。

この役は、ほとんど途切れることのないジャンプの力強さ、
また「薔薇の精」という人間ではない存在の持つ妖しさ
そのキャラクターが人間に関わろうとはたらきかけるときの官能性
などなど複雑な要素が相まって、いくらでも奔放にワイルドな色合いが増してゆく可能性もある。

しかし、ルグリは現代を代表するダンスールノーブルのひとり。
どんなに情熱的に踊っても「きちんと感」が失われません。
むしろその端正さゆえ,
溢れ出てくる情熱や官能性が際立つというチャーミングな薔薇の精でした。
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by leventmurmure | 2012-01-30 21:44 | ballet
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冬のさなか、H.ベルリオーズの「夏の夜」を聴く。
この6曲からなる歌曲集は、
ベルリオーズが友人T.ゴーティエの詩集「死の喜劇」の中から6篇を歌詞とした、ピアノとメゾソプラノ、あるいはテノールのための曲集である。
6曲のなか、とくべつに心を奪われるのは私にとってやはり第2曲の「Le spectre de la rose」
たいていは、「薔薇の精」と訳されているが、詩の内容からすると「精」というよりは
「亡霊」「お化け」といったほうがよいかも。。

ざっくり訳すにはデリケートかつ格調高いこの一篇。
おそるおそる、そうっと訳してみましょう。


 Le spctre de la rose--薔薇の精
 
 君の閉じたまぶたをあげておくれ
 清らかな夢を映すそのまぶたを
 僕は薔薇の精
 君がゆうべの舞踏会でつけていた薔薇
 君は、じょうろの銀のしずくをまだまとったままの僕を摘み取り
 星のきらめく舞踏会の中
 一晩中僕を連れて歩いたね


 おお、君が僕に死をもたらした
 もう逃れることはできない
 僕は毎夜君の枕元で踊るだろう
 でも怖がることはない 
 僕はミサも哀悼歌もいらない
 この軽やかな香りが僕の魂
 僕は天国からやってきたのだ


 僕の運命は羨まれるほどのもの
 この美しい定めを手に入れるため
 幾人の者が命を差し出すことだろう
 なぜなら、君の透き通るほど白い胸が僕の墓
 僕はそこで憩うのだ
 一人の詩人がキスとともにこうしるした
 「一輪の薔薇ここに眠る
  すべての王が羨むであろう一輪の薔薇が」



ゴーティエは当時ドイツから翻訳輸入されて人気を得ていたホフマンの影響を受け、
後にはスウェーデンボルグの影響も受けたといわれる。
また、ロマンティックバレエの代表作「ジゼル」の脚本を手がけたのもゴーティエである。
「死の喜劇」は1838年、「ジゼル」は1841年の作品。
時は19世紀のフランス幻想文学の幕開けの頃です。

「ジゼル」は悲恋の果てに亡くなった村娘ジゼルが、自分を捨てた公爵アルブレヒトをあの世に引き込んでゆくお話。
いわゆる「化けて出ちゃうよ〜」というスタイルですね。

この詩「薔薇の精」もまた、目に見えぬ世界「亡き者」たちの世界のひそやかな気配が香り立つような美しさにあふれている。
薔薇の精は文字通りまどろみの中にある少女に語りかける。
が、枕元でのささやきは少女に大人の世界への目覚めを促しているようでもある。

さっそく演奏を聴いてみましょう。
後に作家自身によって編曲されたオーケストラ伴奏版で。
このオーケストラ伴奏はとても美しく、ピアノ伴奏より曲に合っていると思う。
往年の名ソプラノ、レジーヌ•クレスパン。アンセルメ指揮のスイス•ロマンドオーケストラの演奏で。



自然できちんと美しいマダムのフランス語、
つやっとした歌声そのものが、たっぷりの絵の具を含んだ絵筆でさらりと描かれた大輪の薔薇のよう。
アンセルメ、スイス•ロマンドオーケストラの演奏も、繊細にして色彩豊か。
細い糸を束ねたような柔軟さが猫の足取りのようだ。。
ヨーロッパ的エレガンスが満載で、
軽き薔薇の香りに誘われて異空間に迷いこんでしまいそうな陶酔感を覚える。

この曲集は他の曲もそれぞれにドラマッティックで素敵なので
また取り上げてみたい。




ーーーもうひとつの「薔薇の精」は次回にーーー
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by leventmurmure | 2012-01-29 22:10 | musique
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久しぶりにフィオーレの森へ。。





龍神のいる「井泉」を訪ねてみた。
この泉は江戸時代から付近の集落を潤してきたのだそうだ。
フィオーレの森は、敷地全体がこのわき水を中心に造られているのとのこと。


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水が静かにわき上がっています。
お水にまつわるところだけあって、寒い〜〜のだけれど、爽やか爽やか!


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ティータイムが過ごせる、お目当ての「星のサロン」は今月は工事中でお休みなので、
井泉の隣にあるカフェでひと休み。
眺望のよい「星のサロン」と違って、中庭を眺めながらのお茶は落ち着いた雰囲気だ。

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和洋が何気なく同居し調和しているのが、素敵なところ。




冷たい空気に、真っ赤なゼラニウムが思い切り元気をはじけさせていた。


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by leventmurmure | 2012-01-22 23:19 | dairy

妹とランチタイム

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先週のある日、妹とランチタイムを過ごした。
偶然前日が彼女の誕生日だったので、何となくバースディランチの気分で。。

西麻布の小さなリストランテ「タニーチャ」にて。
初めて訪ねるお店だが、茶谷さんというオーナーシェフのお店らしい。
イタリアンのお店には、こうした「名前もじり」の店名を割とよく見かけるが、
日本語との語感の相性が良いのでしょうね。

妹の誕生日だったのに、私のほうが彼女の手作りの帽子をプレゼントしてもらった。
ベージュとエクリュのウールで出来た、とても可愛くてあったかい帽子だ。
とっても嬉しい!

妹は帽子の職人なので、気に入るかな?と
録画してあった映画「ココシャネル」のDVDを手渡す。

映画の中で、シャネルはイギリス人実業家ボーイ•カペルから
結婚のプロポーズと共同事業のプロポーズを受ける。
が、仕事は一緒にするけれど結婚は自立してから、と保留にして、
結局生涯独身で過ごすことになる。
事業を自力で切り盛りし、女性自身が着たいと思うような服を創作したシャネルは、
自立した女性のアイコンとして今も君臨している。


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逆に、ずうっと誰かしらの恋人であり続けた女性もいる。
映画「歴史は女で作られる」が今月公開された。
「輪舞」のM•オフュルス監督による1956年の作品で、ローラ•モンテスという実在の女性の生涯を描いたもの。
ローラはダンサーであり、また数多くの愛人を渡り歩いたことで知られている。
その愛人達の名はアレクサンドル•デュマ、フランツ•リスト、果てはバイエルン国王ルードヴィヒ1世まで。。
ストーリーに惹かれたのだが、すでに遅し。公開期間が短くて見逃した。

このローラ•モンテスの話になると妹が
「それ大変そう〜、いつもすっごく良くないとダメじゃない?」
常に芸術家やら資産家やら王様やら、誰かしらの心を捕らえておくためには、
常に特別輝いてなきゃならないみたいでちょっとね〜、ま、適当でいいかという訳にはいかなさそうで。。
ということらしい。

しかし、どちらの女性も自分の望むように生きたその様が、今に至るまで人の心を捕らえて放さないのだろう。
しかも、その生き方が世の大多数のそれとは正反対のものとなると、
ただ望む生き方を全うするだけでなく、自分の歩く道を作りながら生きていく訳だから、
より多くのエネルギーを注いでゆくことになる。
その大きなエネルギーが人を魅了するのだと思う。

職人気質の妹、そのようなドラマチックな成り行きはピンとこないみたいだった。
仕事が楽しくて、時には、ひとつの帽子が仕上がってしまうのが残念なくらい、と言っていたこともある。
1時間のランチタイムが終わって、じゃあね。とアトリエに戻ってゆく後ろ姿がちょっと小走りだった。
今日はどんな仕事をしているのかな?と思いながら見送っていると思わず笑顔になって小さく手を振ってしまった。。



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by leventmurmure | 2012-01-19 23:08 | dairy
今年はC.ドビュッシー生誕150年のアニバーサリーyear。
普段から好きなドビュッシーだが、今年もたくさんドビュッシーの音楽にふれていきたい。


「星の夜」は、ドビュッシー16歳の時の作品。
歌詞は初期のドビュッシーがよく取り上げたテオドール•ドゥ•バンヴィルの詩による。
ざっくり訳してみましょう。。

 星の輝く夜
 あなたのヴェールのもと
 そよ風と香しさのもと、
 ため息をつく悲しきリュート
 私は葬られた恋を夢見る

 メランコリーが静かに
 私の心の奥底に花開き
 そして、わたしは聞く
 愛する人の魂が夢想の森のなかで震えているのを。。

 私は再び見る、私たちの泉に。。
 あなたの空のように青いまなざし
 この薔薇は、あなたの吐息
 そしてこの星たちはあなたの瞳

 星の輝く夜
 あなたのヴェールのもと
 そよ風と香しさのもと、
 ため息をつく悲しきリュート
 私は葬られた恋を夢見る


ドビュッシーの初期の声楽曲は
メロディーもハーモニーも素朴であり、
テンションもちょっとしたスパイスとして添えられている風で聴きやすく歌いやすい。
韻を踏んだ詩にぴったりの、かっちりした歌曲の世界に留まっている。

この曲も細く輝く銀色の糸で織り上げられたような繊細さと
ちょっとした生真面目さが初々しくて
メランコリックな心情を歌ってはいるが
その語り口は、清楚にして透明感にみちている。

なので、ピアノ伴奏部分など、とてもシンプルで弾きやすいのかと思うと
これが意外に難しいのよ。と何人かのピアニストの方が言っていた。
私も自分の歌の練習のために
この、まさにリュートをつまびくようなハーモニーを弾いてみるのだが、
普通の4声のハーモニーが拾いにくかった。
何100回も弾いたから少しは慣れたけど。。。

クラシック畑の方々はコードで音をとる習慣がないので、
和声の意図がつかみにくいのかもしれないけれど、
時々割り込んでくるテンションを含んだコードや
転調が意外だからとまどうのかもしれない。

しかし、さらりと聴いた感じでは、
すっきりとモダンな印象として耳に残り、ここちよいのである。

さっそく聴いてみましょう。
ディアナ•ダムラウのソプラノ。グザビエ•ドゥ•メストゥルのハープの伴奏で。




ハープの伴奏はまさにまたたく夜空の星のようで、ホントにこの曲にぴったり。
オリジナルより長2度低いキーでの演奏だが、
この曲は、ソプラノもこの低いキーで歌うことが多いように思う。
しっとりとして、オリジナルキーとは違った落ち着いた魅力がある。
ディアナ•ダムラウの演奏は、清楚というよりは
詩とメロディのメランコリックな部分を強調している感じで大変表情豊かだ。
音色、テンポ。。様々な面が色彩豊かな変化に富んでいて
3回繰り返すメロディーが飽きることなくあっという間に終わってしまう。

空気の澄み渡ったビロードのような天空のひろがり、瞬く天体の輝きを思わせるメロディーです。。
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by leventmurmure | 2012-01-14 00:05 | musique
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お正月、毎年家族で楽しみにしているもの。
尾山台「au bon vieux temps」の「ガトーピレネー」
この間、「ハレの日は作りません」と記事に書いたばかりだけれど、これは明らかにハレの日のムード一杯のお菓子だな。。
かれこれ、15年以上は大晦日にこのお菓子を受け取りにau bon vieux tempsに向かう。
けっこうしつこい習慣になっているといえますね。。

バウムクーヒェンの原型と言われているお菓子だが、
バウムクーヒェンと違うのは、中にオレンジのコンフィが入っているところで、
ふわっとオレンジの香りがお口の中に広がる。
名前の由来は分からないのだが、
ピレネーというのはフランスとスペインの国境にあたる山脈なので、
スペインのオレンジが使われているのでしょうか?違うでしょうか??

たぶん、鉄の棒とか、軸の上に生地をかけてぐるぐる回して一層ずつ焼いてゆくのだろう。
作るのも楽しそうだ。
au bon vieux tempsさんでは分からないけれど、
薪の火の上で焼いて作ったりするのではないだろうか??

雪を被ったようなグレーズも薄くかりっかり。
毎日食べ進んで行くと生地がなじんできてしっとりとしてくる。
ナイフで上の方からぐるぐると削ぐように切り分けてゆくのだが、
このお菓子がなくなると、
あ〜お正月も終わりだな。と思うのである。



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薔薇を携えて母の家に帰ってきた妹。。
「今年もこのお正月のお餅が食べられたねえ。。」
と新年を無事家族で祝えたことを噛み締めるようにお雑煮をつついていた。
ほんとにね。よかった。
よい一年にしましょうね。
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by leventmurmure | 2012-01-07 12:38 | dairy

Chanson d'amour -- G.フォーレ

新年あけましておめでとうございます。
今年は素晴しい一年となりますように!
今年もよろしくお付き合い下さい。

年始は音楽のお話でスタートです。




シャンソンダムール。
ガルリエル•フォーレによる愛の歌。

メロディもハーモニーもシンプルで素朴で愛らしいメロディー。
途中転調するところが軽くぴりっとしたアクセントになっている。

歌詞はアルマン•シルヴェストルによるもので、恋人に愛を語るまさにシャンソンダムールである。

 君の瞳が好き。
 君のおでこが好き。
 僕の反逆者、冷たい人。
 
 君の瞳が好き。
 君の唇が好き。
 僕のすべてのキスがしるされる唇。
 
 君の声が好き。
 君の語ることすべての優雅さが好き。
 ああ、僕の反逆者
 可愛い天使。
 僕の地獄そして僕の天国! 

 君を彩るすべてが好き
 つま先から髪の毛まで
 ああ、僕の希望のすべては君へと向かう
 反逆者にして冷酷なひと。

 君の瞳が好き。
 君の唇が好き。
 僕のすべてのキスがしるされるところ。




可憐にしてレッジェーロなバーバラ•ボニーの演奏。。

歌詞の方はメロディーの愛らしさを裏切るように、なかなか情熱的だ。
恋人を見つめて讃えるその視線は繰り返しの多さのせいもあって、けっこう執拗な感じだし、
「僕の地獄そして天国」というくだりなど、
フランス映画を彷彿とさせるような恋愛の情景が思い浮かぶ。
激しく愛し合いながらも激しくけんかを繰り広げたりしそうな。。

シンプルな曲なのだが、
純情可憐にも大人っぽくも自由に世界を広げられる。
語るような歌うような歌詞が、奥行きを生むフランスっぽい一曲だ。
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by leventmurmure | 2012-01-04 00:02 | musique