私、岩崎 梓の大好きな美しいもの、心ときめく音楽。美味しかったもの。 etc...写真を撮りながら気ままにご紹介。よろしくね。


by 岩崎 梓
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今年はC.ドビュッシー生誕150年のアニバーサリーyear。
普段から好きなドビュッシーだが、今年もたくさんドビュッシーの音楽にふれていきたい。


「星の夜」は、ドビュッシー16歳の時の作品。
歌詞は初期のドビュッシーがよく取り上げたテオドール•ドゥ•バンヴィルの詩による。
ざっくり訳してみましょう。。

 星の輝く夜
 あなたのヴェールのもと
 そよ風と香しさのもと、
 ため息をつく悲しきリュート
 私は葬られた恋を夢見る

 メランコリーが静かに
 私の心の奥底に花開き
 そして、わたしは聞く
 愛する人の魂が夢想の森のなかで震えているのを。。

 私は再び見る、私たちの泉に。。
 あなたの空のように青いまなざし
 この薔薇は、あなたの吐息
 そしてこの星たちはあなたの瞳

 星の輝く夜
 あなたのヴェールのもと
 そよ風と香しさのもと、
 ため息をつく悲しきリュート
 私は葬られた恋を夢見る


ドビュッシーの初期の声楽曲は
メロディーもハーモニーも素朴であり、
テンションもちょっとしたスパイスとして添えられている風で聴きやすく歌いやすい。
韻を踏んだ詩にぴったりの、かっちりした歌曲の世界に留まっている。

この曲も細く輝く銀色の糸で織り上げられたような繊細さと
ちょっとした生真面目さが初々しくて
メランコリックな心情を歌ってはいるが
その語り口は、清楚にして透明感にみちている。

なので、ピアノ伴奏部分など、とてもシンプルで弾きやすいのかと思うと
これが意外に難しいのよ。と何人かのピアニストの方が言っていた。
私も自分の歌の練習のために
この、まさにリュートをつまびくようなハーモニーを弾いてみるのだが、
普通の4声のハーモニーが拾いにくかった。
何100回も弾いたから少しは慣れたけど。。。

クラシック畑の方々はコードで音をとる習慣がないので、
和声の意図がつかみにくいのかもしれないけれど、
時々割り込んでくるテンションを含んだコードや
転調が意外だからとまどうのかもしれない。

しかし、さらりと聴いた感じでは、
すっきりとモダンな印象として耳に残り、ここちよいのである。

さっそく聴いてみましょう。
ディアナ•ダムラウのソプラノ。グザビエ•ドゥ•メストゥルのハープの伴奏で。




ハープの伴奏はまさにまたたく夜空の星のようで、ホントにこの曲にぴったり。
オリジナルより長2度低いキーでの演奏だが、
この曲は、ソプラノもこの低いキーで歌うことが多いように思う。
しっとりとして、オリジナルキーとは違った落ち着いた魅力がある。
ディアナ•ダムラウの演奏は、清楚というよりは
詩とメロディのメランコリックな部分を強調している感じで大変表情豊かだ。
音色、テンポ。。様々な面が色彩豊かな変化に富んでいて
3回繰り返すメロディーが飽きることなくあっという間に終わってしまう。

空気の澄み渡ったビロードのような天空のひろがり、瞬く天体の輝きを思わせるメロディーです。。
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by leventmurmure | 2012-01-14 00:05 | musique
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楽しみにしていた「馬車道ピアノサロン」での歌の練習。
しかも今年の歌い納めというのに、喉風邪を引いてしまった不注意な私。。
前回ここを訪れた時も喉風邪をひいていたっけ。。
よく演奏家で「そこまでする??」というくらい用心深いケアをする方がいるが、やはりどんなにしてもし過ぎということはないのだな。。

前日に喉が痛くなって慌てて近所の内科に行き、たくさん薬を頂いた。
「これで早くよくなりますよね?!」とわたし。
「一応経過は軽くなるとは思いますけど?」と先生。
「明日歌を歌いたいんです。明日なんですけど!」
「。。。それでは、あ〜。。そのように祈りましょう。。」
と「碑文谷内科」の先生が一瞬あきれたのち優しく言って下さったので、おとなしく過ごす。
(先生は、ローズピンクの上衣に黒のパンツ姿だった。内科医のコスチュームとしては、ちょっと変わっているな。)
普段は「自然な経過。。」などと言っているくせに、じゃんじゃんお薬も飲む。



サロンにて、調子がいまいちながら、あれこれ考えて組み立てたプログラムをさらってみる。
歌の間には、ピアニストさんにピアノ曲も少し弾いて頂く。
プログラム作りというのはとても楽しい。
曲の組み合わせ、順番によって様々な世界を再現できる。
今日のプログラムはフォーレ、ドビュッシー、デュパルクなどのフランスものを中心に全部で12曲。
ピアノのソロ曲の他、違う器楽曲を組み合わせても素敵だろうな。。

ピアニストさんや、聴きにきたエヌにアドバイスをもらったりした。
この2年ほど、ピアニストのNちゃんにお付き合い願って2人で練習を重ねてきた。
そのささやかな果実を手にした気がして、とても嬉しい日になった。。

来年はこのプログラムに合う雰囲気の空間で演奏してみたい!!




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近くには歴史博物館。。

いつも読んで下さっている皆様ありがとうございます。
どうぞよいお年をお迎え下さい。
来年もよろしくね。
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by leventmurmure | 2011-12-31 13:39 | musique

「Green」-P.ヴェルレーヌ

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P.ヴェルレーヌに「Green」という詩がある。 
この詩は、作曲家に人気があって
ドビュッシー、フォーレ、アーンなどが曲をつけています。
(アーンは「グリーン」ではなく、「Offrande-贈り物」というタイトルをつけています。)


ひとつの詩に複数の作家が曲をつけるのはこの時代にはよくあることで、
同じくヴェルレーヌの有名な「Clair de lune-月の光」にはやはり
フォーレとドビュッシーが曲を書いています。
しかもドビュッシーは、時間をおいて2曲を書いています。
もう一度書いてみよう、と思わせるのですから作家にとって特別に魅力ある詩なのでしょう。



さて、「グリーン」ですが、
自分のときめくハートを取り出して差し出そうというほどの情熱にかられて
愛するひとのもとへ駆けつける恋人の姿が歌われています。

そのシーンは。。
とても寒い早朝。
朝露に髪が濡れて、そのしずくが額で凍りつく、
というくだりがありますから
まだ、日も上りきらぬうちに走ってきたのでしょう。
足元も露に塗れ、身体も冷えきっているようです。

草地でも駆けて、たどり着いたのはコテージのような家かもしれない。。
想像の膨らむところです。
朝もやが立ちこめ、息せき切って胸いっぱい吸い込む冷たい空気がまさにグリーンに染まっているよう。
エネルギーに満ちたこの朝の世界そのものを、
愛する人に捧げたい気分でしょうか?

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私が練習したことがあるのは、ドビュッシーの作品ですが、
朝の光の輝きに満ちた躍動感あふれる作品です。
スキップのような8分の6拍子に始まり、
中間部のピアノのアルペジオは吹き抜ける風のように輝かしくて、
草を踏んで駆けると、その冷たさに頬が痛いくらいです。
メロディも少し浮かれた恋の気分そのままに、気まぐれのようにうねり、アップダウンします。

後半はまだまどろみの中にある恋人のもとにたどり着いたシーン。。
朝の静寂に満たされた寝室に飛び込むと
室内はほんのりと暖かく、
思わず、愛する人がそこに無邪気に眠っていることの幸せをかみしめます。

冷えきった身体をあたたかな恋人の胸に預け、
「この幸せの嵐が静まるまで、君が休んでいる間このまま眠らせて。。」とつぶやくようなフレーズで曲は終わります。




この詩について、練習に付き合ってくれたピアニストさん(仮にミドリさん)と話していたときのこと、
私がふと、「ヴェルレーヌは男子とばかり付き合っていたらしいから、
自分の体験から書かれた詩なら、ベッドで寝ているのは男子だネ」
というと、え!っと叫んで眉をひそめました。
ミドリさんは、熱心なカトリック教徒です。
そーゆーのはダメ、と目をつぶって首をふります。

ダメ?と聞くと「ダメ!」だそうです。
あまり突っ込んで、もう弾かないと言われたら困るので
触れないことにします。
弾けないものだらけになっちゃう。。

朝の清浄なエネルギーと、胸にわき上がる恋心の躍動が一体となって
移ろいやすいオーロラのような色彩を描いているこの一曲をを楽しむのに、
恋の相手の性別はあまり、重要ではないでしょう。

また、もしかしたら若い男女の情景を描いたものかもしれませんし、
この詩を書いた頃、ヴェルレーヌはまだランボーと蜜月にあったそうですから、
仮にヴェルレーヌが、若い恋人のもとへ
うきうきとスキップしていったのだとしても
それも、なかなかによい光景です。



そして。
ミドリさんの演奏は、ダメ!と言ってはいたものの、
とても情熱的でダイナミック、私の声が消し飛ぶほどでした。
しかも音色も艶っぽく美しく、
未熟な私にはとてもチャレンジングなこの曲を、存分に楽しむことができたのでした。

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by leventmurmure | 2011-09-16 20:25 | musique