私、岩崎 梓の大好きな美しいもの、心ときめく音楽。美味しかったもの。 etc...写真を撮りながら気ままにご紹介。よろしくね。


by 岩崎 梓
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ふたつの「薔薇の精」--その2

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この幻想的な詩はバレエの世界にもインスピレーションを与えた。
ディアギレフ率いる「バレエリュス」の創設の年1911年に
M.フォーキンが振り付けをしている。
音楽はC.ウェーバーの「舞踏への勧誘」(こちらもベルリオーズの編曲による)
この年は、ゴーティエの生誕100年のアニヴァーサリーイヤーだったので、
「薔薇の精」を題材とした新作が作られたのかもしれない。
モンテカルロでの初演のダンサーはもちろんニジンスキー。
この時のニジンスキーのジャンプの驚異的なこと、空中に止まっているようだったことに
観客が熱狂したというのは有名なエピソードだ。

バレエリュスというエキゾティックな新しいカンパニー。半世紀ほど前の幻想的な詩に題材を得てニジンスキーが踊る。
コレオグラフはフォーキン。
その当時に居合わせたらそれはわくわくする体験だと思う。
先日、熊川哲也さんがラジオ番組でこの「舞踏への勧誘」を取り上げ、
「薔薇の精」について語ったコメントがやはりそのようなものだった。
そんなエキサイティングなアートシーンに参加してみたかったと。
そして、
「音楽の命は長い。それに比べてダンサーの命は。。」
とも言っていた。
たしかに作品は後世まで残せるけれど、ライブでダンサーの踊りを体験できる年月の短さ。。

M.ルグリも数年前にエトワールを引退したが、こちらはパリオペラ座時代の「薔薇の精」




明るいウェーバーの音楽と華やかなジャンプ。
歌曲とはまったく違った軽やかな夢の世界が繰り広げられる。
こちらの薔薇の精は「化けて出る」というよりは、
昨夜の楽しいひとときを思いだし、分かち合おうと気楽に少女を訪ねてきて
またひらりと帰ってゆく、といった風情である。

この役は、ほとんど途切れることのないジャンプの力強さ、
また「薔薇の精」という人間ではない存在の持つ妖しさ
そのキャラクターが人間に関わろうとはたらきかけるときの官能性
などなど複雑な要素が相まって、いくらでも奔放にワイルドな色合いが増してゆく可能性もある。

しかし、ルグリは現代を代表するダンスールノーブルのひとり。
どんなに情熱的に踊っても「きちんと感」が失われません。
むしろその端正さゆえ,
溢れ出てくる情熱や官能性が際立つというチャーミングな薔薇の精でした。
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by leventmurmure | 2012-01-30 21:44 | ballet